no title

書くことがないというよりも書く場所や書くものが変わったというのはとても良いことで、そうした日々の中に埋没/没入していることにはわりと満足している。長らく目標を達成することにいくらか失敗を重ねていてこれは少し考えこむ必要があるのではないかなどと考え込みそうになったので、えいやと埋没/没入に身を委ねてみたら、無事目標は達成された。頭で考えること/言葉で考えることの危うさというのは長らく感じていて、それを克服することに専心しているような気もする。もっと形式的で、構造をもった、科学的で実証的なもの。結局自分がたどり着くのはここなのかもしれない。とある経済学者の「Cool head but warm heart」という言葉はとても有名だけれど、情熱をもって達成した目標に浮かれて熱病にうなされていないで、少し冷静になって次の目標に向かうのがよいのだろう。

最近の新しい出会いはわりと良好で、よい形で結実すればと願うかぎり。楽しいことばかりではないけれど、何かを達成できればきっと満足したかたちで終わるだろう。こうしたひとつひとつの事柄を積み重ねていくことをしばらく続けたい。あるいはずっと、これからもずっとこうやって続けることが幸せな途を辿ることになるのかもしれない。<<最近のBGMたち>>

SOLANGE - LOSING YOU

Wild nothing Paradise

Jesse Ruins Sofija

xxyyxx About you

チルウェイヴやJ.Blakeの登場あたりから、インディーズではすっかりと浮遊感のある音楽やちょっと暗めの音楽ばかりになったなあ、というのが印象です。時代の空気とかいうやつなのでしょうか。でも、わりと好きです、この流れ。

no title

なんだか考え事をしている。考え事をしているときには文章にするのがよいだなんていうけれど、そういうときのためにこうして文章を書き綴ってきたのだったから、ときどきはそういうふうに書くことが実はとても自身にとっては重要なのかもしれない。

いくつかうまくいかないことがあって、危惧している。危惧している一方でそれなりに予想していたことでもあって、動揺はしていないけれど。かつてだったら動揺したであろう状況でもさほど動揺はしなくなったけれど、すぐに対策を講じることができるようなレベルではない。どうしようかと悩んでしまう時間が長いのは自分の癖のようなものなのだけれど、これを回避するにはどうしたらよいのだろうかと考えている。誰かに相談する、というのはわりとよい解決策だったりもするのだが、ついつい自分で情報を集めて勝手に判断してしまうのでいけない。自分にとって都合のよいことばかりに目がいくのは人間なので仕方がないのだろうけれど。

仕方が無いので、深夜だというのに鼻歌をうたっている。近所迷惑にならないように、とっても小さな音量で歌っている。ちょっと髪でも切りに行こうか。湘南の風はきっと心地よいだろう。

でっかい東京どこへでも

出来なかったことが出来るようになるっていうのがときどき不思議で仕方がない。昨晩夜が明けるまで5年くらい前に着手していたことに手を出してみたが、思いの外出来るようになっていた。当時の自分には少し荷が重すぎただろうか。やれば出来たのかもしれないが、やっぱり当時は無理だった。でも今なら出来る。歳を重ねると出来ないことが増えると言う人がいるけれど、歳を重ねることで出来ることが増えることだって事実。今日出来なくても明日は出来るかもしれないよね、なんて呑気な考え方が嫌いだったのは何年も前のことで、案外明日には出来るかもしれないよ、なんて20歳やそこらの男の子や女の子に話したりもする日々。出来ない理由を考えろなんて言う人もいるかもしれないけれど、出来ない理由なんて後で出来るようになっても分からなかったりすることだってある。気儘に行こうぜ、そんな気分。東京はとても広いけれど、世界はもっと広いんじゃないかな。一日はとても短いかもしれないし一年はあっという間に過ぎいてゆくように君は感じるかもしれないけれど、人生ってやつはけっこう長いかもしれないよ。まあ、まだよく分かってないんだけどさ。とにかく気儘になったってことさ。でっかい東京で。


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2012年を振り返る。2013年を考える。

「なんだ、相変わらず断食をやっているのか」と親方が訊ねた、「いったい、いつになったら終わることやら」「頼むから、このまま続けさせてくれないか」と断食芸人は蚊の鳴くような声で言った。親方だけは、耳を鉄格子に押しつけていたので、彼の言うことがわかった。「もちろん」と親方は言いながら、指を額にあてて、裏方たちに断食芸人の様子をほのめかした、「このまま続けて構わんよ」「いつだってあんたらを、この断食で感心させてやろう、と思ってきたんだがね」と断食芸人は言った。「そりゃ、感心しているとも」と親方は、相手に逆らわずに言った。「もう、感心するのはやめてほしいんだ」と断食芸人は言った、「いったい、どうして感心してはいけないんだね」「それは、せざるをえなくて断食をしているからさ、ほかにどうしようもなくってね」と断食芸人は言った。「へえ、そうなのか」と親方が言った、「いったいどうして、ほかにどうしようもないのかね」「それはだな」と断食芸人は言って、小さな頭をちょっと持ちあげると、接吻するように唇をとんがらかしてぴったり親方の耳に押しあて、いささかも洩れないようにしてささやいた、「美味いと思う食べ物が見つからなかったからなんだ。見つかってさえいればな、世間の注目なんぞ浴びることなく、あんたやみんなみたいに、腹いっぱい食べて暮らしていただろうと思うけどね」それが最後の言葉だったが、その光を失っていく瞳に浮かんでいたのは、もはや誇らしげでこそなけれ、まだ断食を続けられるぞ、という強固な確信であった。

断食芸人 - カフカ


年末に振り返るつもりだったのだけれど、あっという間に1月3日。実家でお茶を啜りながらぼんやりとしています。いつの間にか年末年始に実家に帰るようになったのだけれでもいまだになんだか不思議な感じで、今年もふわふわとしながら毎日を過ごしています。とはいえ、それでもどこかで強固な確信を感じているわけですが。


生活について。
昨年は、あまり動きもなく、淡々と暮らしていました。生活を第一に置こうという目標はそれなりに達成されたような気はします。家事全般に対する苦手意識を克服して人並みには家事ができるようになり、少し健康的になって体重も増えました。来年は、生活といっても金銭的なことも含めた生活の軸を作ることが目標です。余裕とまではいかずとも、これでなんとかなるんじゃないかという程度のリズムはつくりたいなとおもいます。何にお金を使って何にお金を使わないのか。どれくらいお金を稼いで、どれくらい使うのか。あまり得意ではないけれど、そんな現実的なことを考えながら生活していくことができたらなあ、なんて考えています。

研究について。
気づけば修士課程を出てあっという間に3年近く経ちました。ひっそりこっそりいろいろと仕込んでいるのですが、いい加減成果を見える形にしていきたいとおもいます。修士のときにやっていたようなこと(研究活動以外の活動)は、より若手の方に譲ればよいかな、と思っていて、今後はそれをサポートする側に回りたいとおもっています。昨年からときどき学部生や修士課程の学生の方と話す機会があって、卒業論文のことだけではなく学生生活のこと等いろいろと助言をさせてもらっているのですが、やはり楽しいなとおもいます。やはり大学生というのは悩み多き年頃なのだなあと感慨深く自身のことを思い返したりしています。

仕事について。
これはある程度自分にできることは限られてきたような気がします。「自分にとってはそれをすることはさほど難しく(辛く)ないけれど、それをすることで人の役に立つことができること」ということは思っていたより少ないようです。昨年もいくらか新しいことに手をつけてはこれは違うのではないかと悩んだりしたましたが、その過程で自身に出来ることもわかってきたような気がします。昨年一つ新しく分かったことは、「自分が簡単に出来ることは他人も簡単に出来るわけではない。一方で、他人が簡単に出来ることが自分に簡単に出来るとは限らない」というとても当たり前のようなことで、でもそれをはっきりと認識することで無駄なプライドは捨てられたのではないかとおもいます。特に他人に困ったこと解決してもらうように頼むことを学び、少し楽になりました。強情に出来ると言いはってやることは必ずしも周りの人々にとっても有難いことではないようです。


大学院を出た年に自宅の机の横の壁に「生活・研究・仕事」と大きな文字で書いたメモを貼りつけておいたのですが、そのときの気持ちに忠実にこの3つのバランスを考えながら過ごした一年でした。うまく行ったこともうまく行かなかったこともたくさんあったけれど、まあ合格点をあげられる年となりました。年齢を重ねることで、あまり無茶なことをしなくなって落ち着いてきただけのかもしれませんが、まあそれもよいのではないでしょうか。
一方で今年は、それら3つについてアウトプットの割合を少しでもよいので増やせるようにしたいと思っています。どちらかというとインプットの方が好きなので本を読み始めたらずっと読んでしまったりと受動的な活動に流れがちなのですが、ことしは能動的になれるように気をつけます。インターネットを眺める時間もずいぶんと減ってきて、このままいなくなるかもしれませんが、それもまた人の世ということで、インターネットに限らず出会いがあれば別れもあるものなのでしょう。


最後に。昨年出会った素敵なものたちを列挙してしてみます。もともとここはそんなことを書きつける場所であった気がします。なんだかずいぶんと時間が経って、思い出せなくなりつつありますが。


映画。

デヴィッド・フィンチャードラゴン・タトゥーの女
ただただスリリングな一本で、素晴らしい3時間でした。フィンチャー最高、です。


砂田麻美エンディングノート
この世から去りつつある人間、それも家族をこれほどまでに冷静に、かつ暖かく見守ることが出来る人がいることに驚きました。泣きながら、大笑いして、素晴らしい時間を過ごしました。


ジョナサン・デイトン&ヴァレリー・ファリスリトル・ミス・サンシャイン
家族のしがらみを描きながらもとても温かい映画で、家族で動かなくなったトラクターを押して走るシーン、ミスコンで家族が大暴れするシーンは涙なしでは見ることはできませんでした。


ティム・バートンビッグ・フィッシュ
これまた家族の物語。父と子の距離感はリアルに感じられたし、一人の男の人生の描き方としては素晴らしいものでした。ほんとうに「人生なんて、まるでお伽話」なのでしょう。うつし世は夢夜の夢こそまこと、なのでしょうか。


アルフレッド・ヒッチコック 『サイコ』
誰が何を言おうと、ヒッチコックは素晴らしいですね。


ホセ・ルイス・ゲリンシルビアのいる街で
ストーリーはあまり好まないのではないかと危惧していましたが、思いの外しっくりきました。ただただ美しい街の風景と音。素晴らしいです。


ヤン・シュバイクマイエル 『ファウスト
ゲーテの『ファウスト』は小説の中でももっとも好きなものの一つですが、この作品はある意味で忠実に映像化したもので、素晴らしい出来でした。


ビリー・ワイルダーサンセット大通り』& ファスビンダーヴェロニカ・フォスのあこがれ』& オーソン・ウェルズ市民ケーン
華やかな世界の裏側を描いた映画はいくらかおもい浮かびますが(例えば『マルホランド・ドライブ』)、この3作を対で見ることは非常に楽しい経験となりました。華やかな世界とそのすぐ隣にある闇、現実でもよく見る光景ですね。



本。


エミリー・ブロンテ嵐が丘
非常に有名な古典ですが、ただひたすらに傑作です。かなりの分量がありますが、この世界観に一度入り込むことが出来れば、容易に最後まで読むことができるでしょう。


ルフレッド・ロード・テニスン『イノック・アーデン』
これまた著名な古典ですが、詩のような小説です。『嵐が丘』(さらには『わたしは真吾』)もしかりなのですが、真の愛とやらは、いつの時代も実らないものなのでしょうか。実らないが故の、という逆説的な構造にはいつしか納得がいかなくなってきましたが、なにはともあれ傑作です。


『あしたも、こはるびより。』
前向きなおじいちゃんとおばあちゃんの本。たくさん元気をもらいました。


音楽。


Speaks Melodies

Speaks Melodies

昨年一番聴いたアルバム。


おまけ。


以上です。
すべての人々に実りある一年が訪れますように。

最近見た映画

ゴダール - Made in U.S.A

ホセ・ルイス・ゲリン - シルビアのいる街で

オーソン・ウェルズ - 市民ケーン

フリドリック・トール・フリドリクソン - 春にして君を想う

ヤン・シュバンクマイエル - ファウスト

シルビアのいる街で』、とてもよかったです。ストラスブールとその街に生きる女性たちの美しさに魅了されました。

ファウスト』、すばらしかったです。シュバンクマイエルならではの人形の使い方がとても効果的で。ゲーテのファストもマーロウのファウストも大好きなのですが、シュバンクマイエルのファウストも秀逸。個人的には、未見のソクーロフファウストも見てみたいです。

no title


こんばんは。すっかり秋ですね。今夜はぶるぶると震えながら雨の中を歩いていました。写真は、辻堂の海。遠くにぼんやりと見えるのは海の上にぽつりと浮かぶ江ノ島とまんまるのお月さま。もうすぐ満月です。

お腹が空いたらおうちへ帰ろう


あいかわらず美味しいものをたくさん作っては食べています。
でも、ぜんっぜん太らない。

-----最近読んで面白かった本-----


森へ - 星野道夫
森へ (たくさんのふしぎ傑作集)
ずんずんと森の奥へと進んでゆく星野さん。自然の壮大さに心うたれました。

今日もていねいに。 - 松浦弥太郎メッセージ&フォト 今日もていねいに。
ときどきよみたくなる松浦さんの本、不思議。実は一度読んだことがあるのですが、写真つきになったということで再読。美しくて丁寧な一冊。

あしたも、こばるびより。あしたも、こはるびより。: 83歳と86歳の菜園生活。はる。なつ。あき。ふゆ。
素敵過ぎるおじいちゃんとおばあちゃんの一年を写真を通してながめるだけなのだけれど、読むにつれて広がる多幸感たるや。おもわず「おばあちゃん!」と抱きつきたくなるような可愛らしいおばあちゃんが本当に魅力的。これは本気でおすすめ。

菊池亜希子ムック マッシュ VOL.2菊池亜希子ムック マッシュ VOL.2 (SHOGAKUKAN SELECT MOOK)
うーん、相変わらずのおしゃれさん。着ている服を見ているだけでとっても楽しい。

-----最近の音楽-----


新しいものは全然聴いていません。

ニカセトラ - 二階堂和美ニカセトラ

ニカさんがいればとりあえず満足です、最近は。