I live in the unfair world.


親戚一同が集まり、僕が楽しそうに写真を撮り始めるとお開きになり、なんでいつもそうなんだよ、って言いながらエスカレーターの上から足元に積んであったチラシをばら撒いてやったら色とりどりの紙々がスローモーションで階下に落ちていく。

そんな夢から覚めたのか醒めていないのか分からないけど今日も僕は何の努力もせずに朝を手に入れた。

毎朝まるで来もしない誰かを待つ。そう、まるでウラジミールかエストラゴンみたいな気持ちで長方形の密室の中で目を覚ましunfairな世界で生きる。

音楽と映画がなくちゃダメなのは、それがなくちゃ世界がfairなんじゃないかと勘違いしてしまうからだ。世界がunfairだということを知っている人間にはそんな世界生きていくには辛すぎる。朝は来るけど夜が来ない。

闇に包まれて意識が失われる瞬間僕は二度と目が覚めないのではないかと不安になって眠れなくなることがあったけど最近はそれもない。嘘だ。しょっちゅうある。今でも空虚な闇にすっぽり包まれることが恐い。僕はやがて音楽も家族も友人もすべてが否定された世界で生きていかなくちゃいけないらしい。

それをじっと待つ。

幼い頃はそれを膝抱えて待っているしかないのだと思っていたけど、少しずつだけどそうではないんじゃないかと思うようになった。

ウラジミールとエストラゴンみたいにアタフタしてやればいいんじゃないだろうか。案外楽しいんじゃなかろうか。

傍から見るとバカみたいで。何でうまくやれないの、ってヒソヒソ陰口叩かれて。

それでも誰よりも早く目を覚まして朝を独り占めするのさ。

世界中の悲しみを引き受けることなんて出来ないけど、今ならほんの少しの悲しみなら引き受けること出来るかもな。

もしかしたら。もしかしたらそのときやっと人を世界を愛することが出来るのかもしれない。「他者」はそのとき目の前に現れるのかもしれない。

そんなこと思った。最近東京では星がよく見える。変わったのはこのunfairな世界なんかじゃなくて自分の方なんだろうな。