めぐり逢えたら / ノーラ・エフロン


人生なんて真剣に考えてもろくな答が出ないのに、ちょっとのことでがらっと変わっちゃう。

ーそれが運命ってものだわ!

ママ、運命だなんてこじつけよ。人間の人生が偶然に左右されるなんて信じたくないわ。

ーじゃどうしてあなたたちは中身が同じサンドイッチを頼んだの?それはパンは違うけど・・。同じ日に同じ店で同じサンドイッチを頼むなんて・・。それはどう考えても運命だわ!

もう、運命じゃないって!ただの偶然よ。

日本ではT・ハンクスとM・ライアン共演の恋愛映画というのがウリになっていた(確かに間違いではない)が、二人が一瞬の擦れ違いを除いてラストまで一度も会わないという、極めて意欲的な脚本が効を奏し、渋い味わいの好編に仕上がっている。妻を失ったヤモメの男が、あるクリスマスの晩にラジオ番組でその心情を切々と語る。遠く離れた地でこの番組を聞いた婚期ギリギリのOLが彼にいたく共鳴、彼女は婚約者を振り切ってヤモメ男にコンタクトしようとするのだが……。T・ハンクスの住むシアトルの雨の描写が繊細で、全体に、映画の色調としては扱いが難しいと言われる灰色を強調した画面が美しい。アカデミー賞オリジナル脚本賞部門にノミネートされた。

ベタなのだけど大好きな作品。*1どうも僕は運命だとかそういうロマンチックなものに弱いらしく、この作品は何度みてもきゅんきゅんしてしまう。ちなみにこの作品はご存知の通り、かの傑作『めぐり逢い』がモチーフ。オマージュかな?アメリカの恋愛映画はそれほど見ないのだけれど、ときどきいい作品がある。僕の大好きなビリー・ワイルダーの『アパートの鍵貸します』が例えばそれだ。あと、どうも子供がストーリーの鍵を握る作品も好きだ。『パリ、テキサス』、『クレイマー・クレイマー』なんかがそれだ。そして、恋愛映画に必須の要素がこれ ー「偶然の出会い」。これはなんといっても『恋人たちの距離』、そして『恋する惑星』が挙げられる。そうした僕の好みにぴたりとフィットする作品。それが『めぐり逢えたら』なのだ。お、そうだ、「すれちがい」も重要な要素。これは・・そうだな、例えば『ターンレフト・ターンライト』がそれだ。

もう、メグ・ライアンエンパイアステートビルの中を走るシーンが最高!

という一言で終了。こんなの、見てもらうしかないでしょ。久々に恋愛映画を見た気がする。一ヶ月に二本は見ないとダメだな。

*1:どうでもいいけど、この作品にも使われている「逢う」という漢字がすきです。「めぐりあう」という意味ですね。