no title

書いたものはなるべく消さない、という主義に則って、日記を移動する。

2011年からは、ポジティブなことを書くって決めたんだ。


夕方頃に一雨降りそうな重たい灰色の空の下、税務署に行っていろいろな手続きを済ませた。なんだかずっと書類ばかり書いていて、このまま何も生み出さずに死んでしまうんじゃないか、ってちょっと心配になる。


初めて訪れた税務署の中はとても慌しくて、スーツを着たオジサンが「何のようですか?」と不躾に訊くものだから、これこれで、と要件を手短に話すと、「じゃあこれね」と一枚の紙切れを渡されて、唖然としていると、「ああ、あそこで書いてね」と机の方を指差して、足早に去って行った。書類を書き終えて受付に行くと、そこでもばたばたと人が押し合いへしあい、走ったり。「あの、これ…」と一切れの紙を差し出すと「はい、分かりました」と、呆気なく書類の提出は終わってしまった。


なんだか物足りない、という思いで外に出ると、相変わらずたくさんの人が押しかけてきており、複雑な気持ちになった。もしかしたら、テレビでよくやっている婚姻届を出したカップルの気持ちというやつは、こんなものなのだろうか、と想像してはみたけれど、それほど楽しい気持ちにはなれず、やはり複雑な気持ちを抱えて図書館へと向かった。

図書館の中は老人たちがぼんやりと本や雑誌・新聞を眺めており、税務署とはうってかわってゆったりと流れる時間に拍子抜けしけしてしまい、読んでいた本も早々に切り上げて外に出た。



公園の中を自転車で駆け抜け、環七通り沿いを走る大きな車の横を並列して走る。

寒い寒いと呟きながらポプラでシャーペンを買う。

別の図書館で予約していた本を借りる。

モスバーガーでノートを作成する。



一つ一つの行為がなんだか上滑りをしているようで、なんだろう、どうしたのだろう、とずっと不安だった。

頭の中にあるものをいくつか書き出してみるけれど、どれも解決策が分からないものばかり。


分からないことだらけのこんなところで、たくさんの人とすれ違い、いつもの見慣れた光景から切り離されてしまった。
はやく戻らなくてはいけない。どこかに止まるか、どこかへ向かうか。
誰かに背中を押されなくては、とうとうダメかもしれない、と少しだけ弱気になっている。