夜霧の恋人たち / フランソワ・トリュフォー

あらすじ。

「大人は判ってくれない」、「二十歳の恋」に続く、トリュフォーとレオの“アントワーヌ・ドワネル”シリーズの第3作。志願して兵役に就いたアントワーヌだが、素行不良で退役。恋人クリスティーヌの父の紹介でホテルの夜勤フロントとなるが、浮気の女性客の部屋に夫を入れてしまいクビに。まんまと私立探偵の策略に引っかかったわけだが、彼に同情され、探偵事務所に採用された。ところがここでも失敗を繰り返し、ようやくうまく行きかけた、店員に化けての靴屋の主人の周辺調査(自分が好かれているかどうか気になる主、直々の要請)で、こともあろうに依頼人の妻(美しいD・セイリグ)にのぼせてしまう。一方、つれない彼に腹を立てるクリスティーヌを尾ける、怪しい男の姿もあった……。恋愛をスリラーとして描くという、トリュフォーのモットーが、柔らかなユーモアを帯びて結実した、C・トレネの軽快なシャンソンに彩られた秀作。それぞれの“運命的な愛”に背を向けて、若い二人は結ばれることになるのだが……。


http://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=24241

若い僕たちは恋をする。

いいや、若くなくたって恋はしてもいいんだ。

でも、若き日の恋は特別だ。

時に背伸びをして、美しいものに、官能的なものに思わず目が言ってしまうけど、きっとそれは「愛すること」ができるようになるための通過儀礼なのだ。

主人公は仕事場の上司の妻に恋をする。

しかし、彼は若い。

彼女は彼が自分に「恋をしている」ことを知っている。

だから、一度だけの関係を約束させる。

彼は気づく。

ああこれは恋だったのだ、と。

そして、以前からあったものが「愛」であったことを知る。

人はこの繰り返しを惜しみなく続ける。

そう、惜しみなく続けるしかないのだろう。