魔王 / 伊坂幸太郎

魔王

魔王

ムードとイメージ、世の中を動かすのは、それだ。

「私を信用するな。よく、考えろ。そして、選択しろ」

 お前たちのやっていることは検索で、思索ではない、とも言った。

「島さんに聞いたんだ。兄貴が学生時代に言っていた台詞」暗くなった室内で、潤也君が口を開き、その言葉が急造の灯りのように光る。ように感じた。

「え、何のこと」

「『でたらめでもいいから、自分の考えを信じて、対決していけば』」

「いけば?」

「そうすりゃ、世界が変わる。兄貴はそう言ってたいた」潤也くんは起きながらにして、寝言を口にするかのようだった。「兄貴はそう言っていたんだ」


伊坂幸太郎が「憲法改正」について書いた本。

憲法改正を支持するわけでも退けるわけでもなく中立的な立場をとっています。

つまりは彼が言いたいことはこういうことなのでしょう。

「自分で考えろ」

まったくもって同感です。

いつだって「考えない人」は誰かに操られるのです。

それが最悪の時には全体主義を生む事だってあるでしょうし、群集が獣と化すことの要因でもあったりします。

果たして、クラレッタのスカートを戻すことのできる人間はどれくらいいるのか?

小さな花

小さな花

群衆心理 (講談社学術文庫)

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