ストロベリーショートケイクス / 矢崎仁司

新文芸坐にて。

2年前の大失恋を乗り越えて逞しく生きる里子は"恋に恋する"日々を過ごすデリヘル店「ヘブンスゲイト」の電話番。

デリヘル嬢の秋代はお金を貯めて5階以上の一人用マンションを購入し、ボケそうになったら飛降り自殺することを決めている。
それは決して叶うことのない菊池への想いを貫こうとする彼女の将来設計だった。

プライドが高く、強く生きようとするがために過食と嘔吐を繰り返すイラストレーターの塔子。

事務OLのちひろは男に愛されることでしか自分の存在を確認できないでいるが、結婚に執着するちひろに恋人の永井はうんざりしている。

仕事も、好きなものも嫌いなものも、全部違う、でもこの小さな東京で暮らす女の子たち。

それぞれのままならない思いを抱え、傷つき、泣きながらも、人生にきちんと向かい合った時、彼女たちに小さな奇跡が起こる。

開始から1時間も経たないうちに切なすぎて死ぬかと思いました(笑)

自分が女の子だったら、こんな感じ(特に、塔子みたいな感じ)なんだろうなー、と思いつつ、なんというか、そうそう、自分の生きてる感覚ってこんな感覚だよな、そう、もうどうしようもない感じ、とか思い、映画を観終わった後、土曜の夜に一人切ない気分でいっぱいになりながら山手線をぼーっと見て、東京に来て今年の春で五年目かー、色々あったなー、としみじみしていたのでした。

もう少し内容に関する感想書こうと思ったのに、書けない(笑)秋代が本当は菊地以外には触れて欲しくないということをさりげなく示してるシーンとか(おじいさんに手を触られてスカートでその手を拭くところ)微妙な細部にまで凝っていて、非常に観ていても面白かったです。

語りたい気分ではないので、「隅から隅まで素晴らしい」と手放しに絶賛しちゃいます。もう、観ていただくしかないかな。

そういえば観客は何故かほとんどオジサンたちばっかでした。あれー、これって20代の女の子むけじゃないのかなー、とか思いつつ見てました。R-15指定ってことは、これはエッチな映画なのか?エッチな映画を求めておじさんたちが・・!?個人的には、まあ、中学生が見て共感できるような映画じゃないから、別にR-15なのはそれでいいと思うけど。

神様なんていらないよ、ってラストのシーンがすごく良かった。うん、神様なんていらないね。大切な人がいればそれで十分。なんてこと思ったりした土曜の夜。帰り道はひどく寒かった。