blue / 魚喃キリコ
- 作者: 魚喃キリコ
- 出版社/メーカー: マガジンハウス
- 発売日: 1997/04
- メディア: 単行本
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海の匂いがする
古い校舎の屋上にのぼると
松林のむこうに日本海が見える
どんよりとした水の面がとぎれるあたりで
天気のいい日は遠くの島も見える
ぬけ道を教えてあげるよ
春だから草の芽をふまないようにね
主人公の桐島カヤ子は同じクラスの遠藤雅美のことが気になっているが、声を掛けることがずっと出来ないでいる。そんなある日、授業が終わったあとに一緒に昼ごはんを食べようと声を掛け、急速に二人の仲は近づく。
桐島にとって遠藤は憧れで、彼女に近づこうとし、遠藤はそんな桐島のことを必要としているかのようであった。
しかし、ある日遠藤は突然姿を消す。そしてその姿を消した理由を知らされなかったことから桐島は自分が遠藤に必要とされていなかったことを知る。遠藤は以前付き合っていた男(この男には妻子がいるのだが遠藤は彼の子を妊娠してしまう)の元へ行っていたのだ。そのことをひたすら桐島には秘密にする遠藤に対して詰め寄る桐島は遠藤から「桐島にだけは知られたくなかった」という言葉を聞く。
そして二人は高校を卒業し、それぞれの道を歩み始める。それぞれの想いをそれぞれの胸に秘めたまま。
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海。高校生活。思春期を一人音楽室の横の丸テーブルのソファーに横たわって音楽を聴きながらどうでも良い本ばかり読んで過ごしていた僕にはこの漫画に出てくるような世界はまさに青春そのものであるように見える。
恋愛。友情。将来への不安、夢。
僕たちはあらゆる場面で選択をしなければならない。誰と付き合うのか。誰と仲良くするのか。将来はどういう道を進むのか。
どれだけ仲の良い友人であったとしても、すべての選択は一致しない。そしてたった一回の選択の相違が、その後の二人を完全に引き離してしまうのだ。
最後の台詞。「ねえ、桐島」「桐島・・・」という言葉に秘められた想いは、深い深い青色の海の底に沈んでしまうのだろう。誰もその存在を知りえないような深く暗い海の底に。