エターナル・サンシャイン / ミシェル・ゴンドリー
終わってしまった恋の思い出を捨てた彼女と捨て切れなかった彼の、かけがえのない楽しかった日々を辿っていく切ないラブ・ストーリー。「ヒューマンネイチュア」の脚本・監督コンビ、チャーリー・カウフマンとミシェル・ゴンドリーが奇想天外なストーリーを、コミカルなタッチも織り交ぜながらユニークかつ巧みな作劇で語っていく。主演は「グリンチ」のジム・キャリー。共演は「タイタニック」のケイト・ウィンスレット。
バレンタインデーを目前にしたある日、ジョエルは不思議な手紙を受け取った。そこには、最近ケンカ別れしてしまった恋人クレメンタインについてこう書かれていた。“クレメンタインはジョエルの記憶を全て消し去りました。今後、彼女の過去について絶対触れないようにお願いします。ラクーナ社”。仲直りしようと思っていた矢先にそんな知らせを受け、立ち直れないジョエル。そして彼も、彼女との記憶を消すことを決意し、ラクーナ医院を訪れる。そこでは、一晩寝ている間に脳の中の特定の記憶だけを消去できる施術を行なっていた…。
テーマは何なのだろう。「記憶」といったところだろうか。
ミシェル・ゴンドリーの最新作、『恋愛睡眠のすすめ』もまた夢(無意識)の世界で物語が展開するようだが(予告編しか見ていないので詳しくはわからないが)、この作品では「記憶」が消える。
恋人だった二人(ジョエルとクレメンタイン)はある日喧嘩をし、クレメンタインはジョエルに関する記憶を消すことを決意する。それを知った彼も彼女の記憶を消そうとするのだが、その記憶を辿っていくうちに記憶が消えることに抵抗し始める。夢の中で二人は記憶から消されないようにあらゆる策を練るが、結局彼らの記憶は消されてしまう。
物語の構成自体はそれほどオリジナリティーはない。物語の始めのシーンが最後につながるという映画は挙げればキリがないが、たとえばペドロ・アルモドバルの『オープン・ユア・アイズ』やM・ナイト・シャマランの『シックス・センス』が挙げられる。*1
また、別にどうでもいいことではあるが、「記憶」というのは脳科学の分野では今現在非常にホットな話題で、例えばMITの利根川進が「記憶」に関する世界的な研究を牽引しているが、未だそのメカニズムは解明されていないようだ。*2
閑話休題。
僕はこの映画の良いところは「奇跡の恋愛」みたいことを謳っている部分ではなくて、一番最後の部分であると思う。二人は運命でつながっていたわけでも奇跡でつながっていたわけでもなくて、ただ、普通の男女としてつながっていたのだ。分かりあえないはずの「他者」同士が二人で生きていく、それだけで本当は奇跡なのだけれど。