これからここは文学ブログになります

相変わらず読んでいる。

さまざまな作家の小説が読めて、本当に楽しいので、みんな買ったらいいと思う。

昨日紹介したもの以外の僕の評価はこんな感じ。


<良かった>
玄侑宗久   「猫雨」
重松清    「それでいい」
平野啓一郎  「義足」

<まあまあ>
いしいしんじ 「ミケーネ」
歌野晶午   「永遠の契り」
大岡玲    「ピクニック」
筒井康隆   「出世の首」

<ふつう>
車谷長吉   「夜尿」

<ダメ>
なし



こう見てみると、僕の評価というのは甘いはずなのに毎回最低評価を受ける石田氏というのはどうやら僕とはそりがあわないらしい。

で、良かったのは、玄侑宗久。猫が出てくる一夜の出来事なのだけれど、猫の孤独感と主人公の男の孤独感がなかなか深くてたまらなかった。どうでもいいけど、漢字が多くてかっこいい笑。

あと、重松清。久々に彼の作品を読んだのだけれど、演歌みたいな作品で良かった。長らく勤めた単身赴任先を離れることになり、その町で過ごす最後の日の話。これからの家族とのこと、これまでの家族とのことをあれやこれや考えながらお酒をのんで「それでいい」と一言。会社での人付き合い、ダメな部下のことをあれやこれや考えながらお酒をのんで、「それでいい」と一言。長らく単身赴任を続けてきた自分の父のことを考えずにはいられなかった。

他にも、平野啓一郎も初めて読んだけれど、非常に良かった。戦地で足を失った黒人の男の話。とにかく描写が生々しくて、足を鉈で切断される描写はイテテとか思いながら読んだ。大岡昇平の「野火」以来、十五年ぶりくらいにこんな痛々しい描写に出会った。うまい。

筒井康隆は普通。彼の作品で面白いものには出会ったことがないのだけれど、あ、でも「文学部唯野教授」は嫌いじゃないかな。他にいしいしんじは初めて読んだのだけれど、へー、という感じ。祖父の葬儀に来たミケーネという三毛猫が礼儀正しく葬儀をすませ、去っていくという話。ファンタジー、なのかな?

歌野晶午は、あこがれの女の子が我が家に来て・・という話で、「おお、男心が分かってるじゃん!」と思いつつどういう展開になるのかなあと思ったら、まあありがちと言えばありがちのオチ。もったいない。大岡玲も初めて読んだのだけれど、何の話なのか分からないところとか、物語の落差が激しいところとかすごく好きなのだけれど、もう少し長いストーリーで河原でのほんわかムードと後半のグロテスクな描写に物語的連結と落差の両方を取り入れて欲しかった*1


なんだか知らないけれど、この本は総じて、暗い話が多い。

あと、猫がよく出てくる。そうだ僕も猫を探しにいかねば。

ノラや

*1:と書いても読んでない人には何のことやらですが・・