フィクション


今年の5月くらいからやっている仕事(株式会社をつくっている)をどうするか悩んでいる。これが幸運の女神の前髪とやらなのかそうでないのかははかりかねる。色んな仕事を同時にたくさんもっていて、全てが全てはできそうにない。学ぶことが多すぎて、休みが全くなくてしんどくて、無責任に放り出したものも多い。オフィスは六本木スタートで、IT企業。超有名企業と同じビル。初めは役員になりたいだとか上司がいなくて楽だとか考えていたけれど、正直もうそういうのに興味がない。自分の幸せとは無関係だと思う。強い相関はない、くらいか。今月末はじいちゃんの入院でばあちゃんが東京(千葉)に来るから一緒にマンションに泊まって手術には立ち会う。大学でいろいろ清算すべきこともあるからなかなか仕事を手伝えないけど、これまで一緒に仕事をしてきたので、自分が抜けるのはまあまあ痛手だと思う。保証されている待遇も悪くない(完全に新卒扱いではないから)。相変わらず就職情報で外資系証券会社や金融の募集に目がいく。数学とコンピュータを使って高度なことをやってみたいし、優秀な人たちと一緒に働いて自分の可能性を試したいという思いは強い。小学生で高校数学や古文・漢文を学んでいた秀才くんもそれから15年くらい経てばただのおにいちゃん。大発見を目指して飛び込んだ基礎科学研究の分野で挫折を繰り返す日々。こんなにも自分には何も出来ないのか、とショックで渋谷をふらつきゲームセンターで面白くもないサッカーゲームに興じる。何かやりたい、という気持ちと何も出来ないことの両挟みで、かなりしんどかった。今の仕事を引き受けたのは、そんな「何も出来ない」自分が「役に立てる」「必要とされる」ことに飢えていたのだと思う。誰だって自分を認めてもらいたい、という欲求はある。でも、表面的な理解というのはすぐにダメになってしまう。そればかりは何度も話してみないと分からない。物理的な距離と線形ではない時間が必要。じゃあ、今自分のことを理解してくれるのは、と考えると、何人かは思い浮かぶ。彼・彼女には、いろいろ相談できる。まあ、近い仲だと彼女だよね、と思う。2年半前に専攻の説明会で会って、数ヶ月後にお世話になっている先生の部屋でたまたま会って、その後もいろいろ一緒にやってきたっけ。つまらない大口を叩いても「場が盛り上がるからいいじゃん」って言ってくれたし、ずいぶんと愚痴も聞いてもらったな。いつも「相談になら乗ってあげるよ」って言ってくれたっけ。久々に会って話したいな。どこにいるのやら知らないけれど。Sさんには話したけれど、この一年(2009-2010)はかなり重要な分岐点だと思っていて、今までにないくらい多くの人にアドバイスをもらっている。今自分はこんなことを考えていて、こうなりたい、という相談。一人では抱えきれなくなってダメになっちゃったのが1年〜1年半前。両親に泣きながら「ごめん俺もう無理だ」と電話をしたら「いつでも帰ってきなさい。もう東京になんておらんでエエよ」と言われた。気づいたら友人たちは就職先を決めていて、置いていかれるんじゃないかと不安で仕方がなかった。進学したいという思いと自信がない現実。ボスに「進学するんだよね?」と何度も訊かれて、「はい」と言えなくて「失望した」と言われたこと。自分には無理だ、と思ってしまったら、もう無理なんだきっと。人よりも努力してるはずなのに、なんで置いていかれるのか不思議で仕方がなかったけれど、結局自分が前を走っていることに自信が持てなかっただけなのだと思う。一番前を走っている走者には、後ろのことは何も分からない。不安になって振り返ったらみんな違う競技に移ってた、みたいな感じかな。勝ちも負けもない一人相撲。でもきっとみんな一人相撲してるんだろうな。俺が一番強い、とか思っていても、みんな別々の土俵にいるから一番も何もない。子供の頃は同じ土俵の上に無理やり乗せられてそこで強い奴が偉い、という価値観が植え込まれるんだけど、大人になるにつれてみんなその土俵から降りていく。で、降りたら初めて「あれ、土俵の上で相撲とってる奴なんてほんの僅かじゃん、もっと広い世界があるじゃん大事なものあるじゃん」って気づくのだと思う。気づかない人も多いのだろうけれど。自分も長く気づかなかったなあ。あとどれくらいの時間が残っているのだろう、ということはしょっちゅう考える。8年くらい一つの問題について考えて、ある程度納得のいく答えは得られたけれど、ずいぶんと多くのものを失った。まだ、理解しなくちゃ死ねない、ということはたくさんある。当たり前のように見えることが当たり前には見えない今はまだ大丈夫。これが当たり前になってきたらもうアウトなのかもしれない。先に進んだだけという可能性もあるけれど。何にせよ、恐らく死ぬまで考えつづけるのだろう。死んだあとのことは、まあ、分からないなあ。死んでから考えよう。


今日は考えごとばかりして疲れてしまったな。また忙しくなるみたいだし、ゆっくり休みたい。集中し始めたら、また深いところに降りていくのだろうけれど、だいぶ帰ってくる方法が分かってきた。道が分からなくなったら恥ずかしがらずに訊けばいい。泣いていたら誰かが手を引っ張ってくれることもある。だから誰かが迷っていたり泣いていたら、拒否されても、やっぱり手を差し出さなきゃいけないのだと思う。人から嬉しいことをされたら、他の人にもそのことをしてあげるのがいいのだろう。自分もそうしてもらえるとうれしい。とても難しいことだけれど。


もう頭が疲れてしまってどうしようもないな。毎日心がけることとやるべき仕事を書き出していたら、すごいことになってしまった。毎日タスクとの戦い。優先順位の付け方は自分の中でだいぶ固まった。


眠たいから読み返さないけど、間違ったことを書いていないといいな。どうにも自分は間違いを重ねすぎた。これが全部フィクションだといいな。フィクションだったら、最初から最高のシナリオに書き直すのに。