トニー滝谷 / 市川準 村上春樹原作

確か、去年の春にテアトル新宿で見ました。

観客は平日の午前中ということもあってか、主婦層が多め。

あとは文学少女(?)。

映画館開演前の行列の中には『レキシントンの幽霊』を読んでるっぽい人々もちらほら。

そんな中赤のPコートを着た不良少年のボクはちょっとだけ緊張。

で、一応紹介。

村上春樹原作の同名短編を、市川準監督が映画化。ジャズ・ミュージシャンの息子として生まれ、「トニー」という名を付けられた主人公がイラストレーターとなり、仕事先の編集部員、英子と結ばれる。幸せな結婚生活で唯一の問題は、英子が次々と新しい洋服を買うという依存症だった…。イッセー尾形がトニーを淡々と演じ、英子役の宮沢りえも、言いようのない焦燥感を絶妙に表現する(彼女は妻の“身代わり”となる女性と2役を好演)。
ゆっくりと左方向へ動いていくパン(水平移動のカメラワーク)が心地よい。トニーの幼い頃の生活から、仕事、結婚生活と移りゆく日々が、走馬燈のように画面を流れていく。カメラと被写体の距離感は、市川監督の『病院で死ぬということ』を思い出させる。西島秀俊のナレーション、坂本龍一作曲のピアノ曲など、多くの要素がマッチした映像世界が伝えるのは、孤独であることの哀しさと心地よさの二面性。結局、人間は死ぬまで独りであると納得させられながらも、それはそれで辛いのだという思いが、ふつふつと湧き上がってくる。(斉藤博昭)

この文章は非常にいいですね。

孤独であることの哀しさと心地よさの二面性。
結局、人間は死ぬまで独りであると納得させられながらも、それはそれで辛いのだという思いが、ふつふつと湧き上がってくる。

これってまさに村上春樹の多く作品から感じられるものですよね。

村上春樹の「孤独感」、「不在感」。

映像化された世界で感じるのもいいですよ。

イッセー尾形宮沢りえ最高です。