キミのリズムで。
人々が目を覚まし始めるころに明るみゆく東の空を見て僕はカメラを持って家を出た。
少し白みがかったブルーの空は、何かが始まる予感を感じさせる。朝だ。
公園には人影はなく、どこかの子供が忘れていったミニカーがベンチの上で朝露に濡れている。
遠くに車のエンジンをかける音が聞こえ、犬がほえる。
この音まで含めて写真に残せればいいのに
と思いながら、かしゃりとシャッターをきる。
少し遠くまで歩こうかと思ったその瞬間。お腹がぐうとなる。
ああ、僕は生きているのだなあ今日も。一日の始まりは生きることの始まりだ。
毎日リセットされた生を生きる。
日が暮れかかるころに再び空を仰ぐと、今度は黒みがかったブルーの空が広がる。
マンションに照りつける陽光が反射して眩しいから、僕は思わずマンションに背を向けた。
すると今度は太陽が眩しくて。でも、背を向けることはしない。
手をつないで家路を急ぐ母と子の横を、僕は無言で通り過ぎていく。