世の中には答のない問題の方が多い。
映画『ニュー・シネマ・パラダイス』の中のエピソードから。
主人公トトが青年になってひとりの女性に恋をする。思いつめるトトに、仲良しの老映画技師アルフレードがひとつの物語を話して聞かせる。
「昔、ある王様がパーティーを開き、国中の美しい女性が集まった。
護衛の兵士が王女の通るのを見て、あまりの美しさに恋に落ちた。
だが王女と兵士では身分が違いすぎる。
でも護衛は王女に話しかけた。
王女なしでは生きていけないと言った。王女は兵士の深い思いに驚いて告げた。
『100日間の間、昼も夜も
私のバルコニーの下で待っていてくれたら
あなたのものになります』と。
兵士はバルコニーの下に飛んでいった。
2日、10日、20日がたった。
毎晩王女は窓から見たが兵士は動かない。
雨の日も風の日も、雪が降っても、鳥が糞をしても蜂が刺しても兵士は動かなかった。90日が過ぎた頃には、兵士は干からびて真っ白になっていた。
眼からは涙が滴り落ちた。涙を押さえる力もなかった。眠る気力すらなかった。
王女はずっと見守っていた。
99日目の夜、兵士は立ちあがった。
椅子を持っていってしまった」アルフレードがここまで話したのを聞いて、トトが意外な顔をして訊ねる。
「最後の日に?」
「最後の日にだ」と言ってアルフレードが締めくくる。
「話の意味はわからない。わかったら教えてくれ」なぜ兵士はあと一日で100日を迎える
まさに『最後の日』にバルコニーの下から立ち去ったのだろうか?
これは有名なエピソードで、先日論語の話を聴いていてこの答が一つ思い浮かんだんですが(そしてもう忘れた笑)、高校生の時から未だにこの問いの答を考えています。人によって色々な答が返ってきて面白いなあ、と思います。僕の答も歳をとるにつれて変わっていくわけで。
世の中には答のない問いがたくさんあるらしい、ということを知ったのはもう随分前のことなのだなあ。ということを先日なんとなく思い出していつものようにセンチメンタルな気分になったのを思い出して。そろそろこれ見るの十回目くらいになるかもな。好きだなあ、しかし、これ。いい加減DVD買おう。