凍てつくような、という陳腐な形容が許されないくらい冷え切った空気が身にしみて身体がぎゅんと萎んで縮まって点になってしまいそうになりながら漕ぐ自転車は家路へ向かう僕を乗せて走る。
全て飲み込んでしまいそうだね漆黒の闇夜ふかい、ふかいのどれくらい。
そういえばかつて天文学者になりたかった頃があったって。
思い出すね坂道上りながら下りながら探したオリオン座。
他の星なんて目に入らないよ一番目立つから。
でもときどき見失ってしまいそうになって、見つからないと不安な帰り道。
母親の遅かったじゃないのという台詞。
吐き出す白い息、その白い息同じものですか、この白い手と。