今日この街を出る。

春は何度でもやってくる。先日からの煙草の消費量はJTの生産量を上回り煙草業界を脅かす、というか貢献するのではないか、と書いてはみたが一日一箱でそんなわけはないしつまらないことばかり言っていてはいけない。それでも普段は吸わない煙草をこれだけ吸っているのはどこかもやもやしたことがあるからで、相変わらずもやもやするんだからしょうもないヤツだ。

テレビを付けても面白くないし、一体どうしたら楽しいのだろうか、きっと人と話したら楽しいのだろう気の合う仲間と馬鹿したいね、と切に願う。踊ったり、歌ったり、映画見たり、そんな風に生きてゆきたいのだけれど甘いのだろうなあとこの歳でやっと気づく。いや、頭では分かってるのに身体がのパターン。困ったなあ。

街を歩いていると人人人で、ああ、と思う。こんなにも人がたくさんいるよ、人だよ人。すごいなあ、人だぜ人、と頭の中でぐるぐる。ぐるぐるぐるぐる周って一周してしまうと時間だけが経っていて、時間なんてたくさんあっても無為に過ごすだけだなあとなんとかになる。なんとかというのはいい言葉が見つからなかっただけで、最近は小説を読んでいないこともあっていい言葉が選べない。酷い。

それにしても、とまた書いてしまうくらいボキャブラリーは貧困になってきているが、それにしても何なのだろうこの人生は、とEさんに言ったら、じゃああなたはどんな人生だったら満足なの?、と言われ閉口した。勉強したいだけできる状況にいてやらないだなんて馬鹿なんじゃないか、と思う。昨年まで今いる分野の勉強が出来なくて苛々していたのにこのザマでは本当に情けないしいつから自分はこんなに情けないヤツになったのだろうかと思い返すと昔からで、よくもまあそんなヤツがこんなところにいるよなあと不思議がるが、それでも調子のいいときにはがんがん勉強するのだから少しくらいは報われてもよいのだろう。そのくらいは報われてよ、と言いたい。言わせて。ダメですか。そうですか。

街をてくてく手持ち無沙汰で歩いていると、存在について時間について他者について愛について芸術について科学について、と色んなことを考え始めるからディオールの前で歩を止め煙草を吸う。こんなに派手に光らせて何か意味あんのかよくだらない、と煙をすぱーとふきだす。店に入っていく人を見ながら相変わらず煙草をくゆらせる。そして東京は景気がいいね、と故郷のことを思い出す。高校の同級生の奴らは今頃どうしてるだろう、とか思って風の便りを思い出すとどいつもこいつもふらふら自分の好きなことやって生きているのだから本当に人いうのは根本的には生まれたときから変わらないのだなあと思う(氏か育ちかと言われるとそりゃあどちらもなのだろうけれど)。あいつはそういう道を行くだろうなあ、と納得できて面白い。当時からロクでもなかった奴はロクでもない道に進むのだなあ。

学部のときの友人たちのシュウカツも落ち着いたころだろうか。あいつらの中で道を外しそうなのはいないから安心だなあと安心しきっているのだけれど、彼らも僕が無事道を踏み外したので安心していることだろう。色々と期待してくれているみたいだから頑張らないとな。来週は髪を切って職を探さないといけない。時給がいいものと思いっきり自分がやりそうにないもののどちらか。生活費を稼がないといけないからなるべく時給がいいものを選びたいけれど先のない仕事をしても仕方がない。困ったものだけれど本当に稼がなくてはいけないので稼ごう。

ベランダで星を見ながら煙草を吸っていたらちょっと元気になった。地球なんて広い宇宙にたくさんある星のうちの一つに過ぎなくて、そこに生命が生まれて、人間が進化の過程で現れて、自分たちが誰なのか悩んだり経済活動の犠牲になったりたくさんの芸術や人間やその他諸々が生み出されては壊されて、そんなことをしているうちに何もかも消えていくのだろうな。自分から見たら途方も無いくらい長いスパンで、宇宙からみたらほんの一瞬で。この瞬間にここにいる自分や他の人の存在を想うと切なさがこみ上げてくる。生まれたときからそんな感情を持って生きてきたけれど、やっぱりここは不思議な世界だ。すべての謎が解ける日が来たら、楽になれるのだろうか。最近は結果ばかり追いかけてて自分が研究を志した理由を忘れかけていた。ボスに怒られて当然だしつまらないのも当たり前だ。この世界についてもう少し知ってからでないとまだやめるわけにはいかないのだよな。生きているものと生きていないもの。何が違うのだろうか?生物や人間を見るたびに考えてしまう。


イージュー★ライダー 奥田民生

マジ青春なめんな、って思う。思ってる。