ライフ・イットセルフ

ここ三年間くらい一人で過ごす誕生日が定番になってきたのでこれはいけないなあと思っているのだけれど、残念ながら今年も一人で過ごすこととなった。といっても、友人を呼べば祝ってくれるのかもしれないが、一人でふらりふらりとしたい気分だったのでそうはせずに午後からぶらりと外に出た。暖かい陽の差す中、代官山を歩いた。いつものようにボンジュール行ってアーのペーのセー行って、ヴェンダー行って、サープラス行って、久々にハリランに入ってみた。相変わらずハリランの人の多いこと。いいにおいがするからこの店はすきなのだけれど、なんだかんだでカジュアルなかっこよりモードが好きだから本当に久々に入ったけれど相変わらずいいにおいだったし、前回来たときは確か誰かさんと一緒だったね、と思い出してみたりなどするが馬鹿らしいのですぐに店を出る。店を出て、交差点のところの歩道橋を渡り、坂を降り、中目黒へ。いつものようにオルゴーとかフィリップに立ち寄り、TMT行ってジェネラルリサーチ、カウブックス、温故知新、KFCで何か食べてジャンピンジャップ。

なんだか変わらないなあ、ずっとこの道を歩いてるなあと途中で気づく。ずっと同じ道を歩くのかなあ、この線路の横道を、夕方の傾く陽に左頬を照らされながら。これから何度となく繰り返される日々の中で何をどうすればよいのだろうか。どうしようもなく過ぎ去る時間が愛しいのは時間が戻らないからなのか。先のことが少しでもわかれば過去のことなど忘れてしまうのだけれどな。一人頭の中どうしますかねと尋ねるが分かるわけねーじゃん、と予想通りの答えが返ってくるのでやれやれとつぶやきながら坂道を上った処の交差点のガードレールに腰をかけて交差点を渡る人の顔と通り過ぎる車をぼーっと眺める。ここに車が突っ込んできてくれればこんなことも考えなくてすむのにな、とか思いつつ写真撮りたいな写真、とどんなカメラを買おうか考え始める。思考は不連続に、身体は連続に時間と空間の中に埋め込まれる。自分はどこにいるのか。

代官山から東横線で渋谷へ戻るとあいかわらず人が多くて壊れた人形のように右に左にゆらりゆらりとセンター街を抜けてHMVへ。適当に視聴して、疲れてしまっていたのですぐに店を出て、大学の研究室まで歩く。ここにあとどれくらいいるのだろうな、と考える。相変わらず先のことがわからない。明日雨が降ればパーカーを着てショルダーバッグを肩からかけて傘を差して大学へ向かうだろうし、晴れればパーカーを着てショルダーバッグを肩からかけてやっぱり大学へ向かうのだろう。母親と父親から「誕生日おめでとう、がんばれ」とメールがあった。もう少しがんばってみようかな。


くちなしの丘