no title

ようやく暖かくなったと思ったらまた寒い、そんな毎日が続いている。待ち遠しい春のことを思い浮かべている夜。近所の神社の梅の花は見事に咲き誇っている。「にほひおこせよ梅の花」と詠った学問の神様に朝夕と祈るのは日々の暮らしが穏やかであること、それとほんの少しの刺激的な時間。世間が大きな災害に右往左往する一年、なるべく今までと変わらずに過ごそうと思って過ごした結果、順繰りと戻ってきた場所は見覚えのある場所。そういえばここにいた、ここに来た、ここから来た、ここに戻る、なんてまるでそれは紐解いてみれば一本の綱であったかのような話。拍子抜けはしていないけれど。

ようやく自宅から必要のないものをほとんど捨て去った。今日は最後の大物、ブラウン管式テレビ。上京した当時に大学で知り合った友人と秋葉原で購入したのはずいぶんと昔の話。あの頃は本当にどうしようもなくて今だってどうしようもないのだけれど、幸せか不幸せかと問われればわりと幸せで、それはたぶんなるべく必要なものだけに目を向けるようになったからかもしれない。足りない足りないと頭の中を言葉が右から左へと駆け抜けていた頃は必要のないもの(結果的にそれは「欲しいもの」だった)や過ぎ去った過去のことを嘆いていたような気がする。こぼれたミルクに泣いていても仕方がない。

少しずつ戻っている感覚がよい方向に導いてくれるのかどうかは分からないけれど、結局やっぱり自分を信じるしかないよなあ、と思っている。誰も答えを知らない問いに答えるのが自分のやるべきことなのだろう。それを今年はストイックに続けていきたい。


MATT AND KIM - DAYLIGHT