And, he'll say to her again.
夜になっても冷めない熱を含んだ生ぬるい空気を引きずりながら、いつもは歩かないJR渋谷駅の東口から出て少し街を歩いてみるとなんだか知らない街に来たみたいで、思わず人気のない曲がり角を曲がりたくなる。
こんなところにこんな店が。こんなところに小さな公園が。
そんなちょっとした発見でうれしくなってしまう。
こういうことを繰り返してなんとかすすむ。
人ごみの中空っぽの頭と心が萎んで空虚な一点になってしまいそうになり、危うく足踏み外しかけた階段の下から七段目のところから思い切って崩れたバランスのままぴょんと地面まで飛んでみたら、軽くなった身体に地面からの衝撃が足元を伝ってがつんと体中に走り、あれれと前のめりになってふと顔をあげると街のネオンが鮮やかで手のひらかざしてみたら色とりどりの光が指の隙間から零れてきた。大切な瞬間は思わぬタイミングで訪れ、繋がっていることの脆さからは目をそらしているだけ。街も人も日々変わってゆく。
午後から意気込んで大学へ出かけたものの、どうにも集中力がなく、結局『君に届け』を読みながら論文を読んでいると、漫画の方がメインになってしまいあいかわらず無駄な時間が多かった。暑さで頭がいかれているらしい。
ここ数週間の集中力のなさに驚く。やはり授業がちがちに詰め込んできつきつのスケジュールの中やるほうが効率がよい。
本谷の『江利子と絶対』があまりに可笑しくて電車の中で笑ってしまった。町田康以来だ。
読むべき本は、他にある。やることはたくさんある。夏はまだまだ続く。