!!!

                                                                                                            • -

<ハム >あの上に坐ってろ。
<クロブ>おれは坐れないんだよ
<ハム >そうだったな。こっちは立っていられない。
<クロブ>そのとおり。
<ハム >それぞれに得意がある。(間)電話はかかってこないのかなあ?(間)笑わないな?
<クロブ>(考えてみてから)それほど笑いたかないね。
<ハム >おれもだ。(間)クロヴ。
<クロブ>うん。
<ハム >自然はおれたちのことを忘れてしまった。
<クロブ>自然なんてもうないよ。
<ハム >自然がないだと!大げさを言うない。
<クロブ>この近辺にはね。
<ハム >でもおれたちは呼吸をしているし、変化している!髪がなくなり、歯も抜ける!みずみずしさも、理想もなくなる!
<クロブ>だとしたら、自然は忘れちゃいないのさ。
<ハム >でもお前は言ったじゃないか、自然はもうないって。
<クロブ>(悲しげに)この世のだれでも、おれたちくらいひねくれたものの考えかたをするやつはいない。
<ハム >おれはできることをやっているんだ。
<クロブ>それがまちがいなんだ。



勝負の終わり  サミュエル・ベケット

                                                                                                            • -

毎日夏であるわけである。

あまりの暑さに外に出てゆきたい気分でもないといえばないのだけれど、家に閉じこもるのもまた健康によくないと思い、昨日は珍しく午前中に家を出た。

京王線の線路沿いを歩いていると友人から電話が。本郷の学食は今日休みだけれど使えるのかと問われて、本郷に関しては詳しくはわからないけれど、使えるのではないか、と答えたが、彼は恋人と花火に行くために湯島などにいたようで、そっか今日花火か、と思い出す。

本郷に行くつもりだったのだけれど、なんだか友人が恋人と一緒なら会うのもあれだなあと考えて渋谷へ。

キャッシュカードをつくらなければならなくて銀行に行ったらば土曜日だから窓口がやっていなくて、それはそうだよね、と納得。

あとは、コンタクト、と頭の中では覚えていたものの歩いていると暑さで忘れる。気づいたら青山のほうに向かっており、お腹がすいて、どこか入れる店を探す。一人で入れる店ってどこがあるかなあ、と考えていたらばラーメン屋があって、入ってみて、ああここはダメかもな、と期待せずに食したらそれなりにおいしかった。

暑いわー暑いわーとか呟きながら某古書店へ。以前から行ってみたかった店で、普通のマンションの一室にあって、どきどきしながら行ってみたらば素敵なお店だった。トゥルニエとかビュトールとかロブグリエとかフランス文学の本がたくさん置いてあって、そういえばこの店はどうやって知ったのだっけ、とか思い出しつつ*1、あれも欲しいこれも欲しいと迷う。その間、店主さんはせっせと仕事をしていて、一人集中して本を漁る。結局、ベケットレイモン・クノーとデ・フォレとジョン・パーキンズの短編が入った本を購入。店主さんに、素敵なお店ですねー、と言うと、ありがとうございます、と照れながら答えられた。また来ます、と言い残して店を出ると、やっぱり暑い。

ちょっとスペース行ってみるかー、とスペースへ行ったのだけれど秋冬はまだ入っておらず。パブリックイメージのシャツがたくさん残っていて、売れてないのだなあ、と。メンノンで松田くんが着ていたのだけれど、ちょっとモードっぽすぎるというかなんというか。

あまりの暑さに耐えられず、ラブレスには行かずカウブックスへ。百けんの『第一阿房列車』があって、あれ欲しい、けど買わない。ドラゴンフライカフェは人が多いし、なんか業界人ぽい人がいて苦手だったので別のところに行こう、と。静かなカフェってどこがあるだろうか、と悩む。On Sundays?蔦珈琲店?と悩みながら青山通りを歩いていたらば煙草屋があってちょっと一服。

六本木ヒルズが見えるところですぱすぱ煙草を吸っていると、おじいちゃんが隣に来て、話しかけられる。

(煙草に火をつけながら)今日は風が強いね、そうですね風強いですね、火が点かないよ、そうですねうまく点けないと、(両手で火を風から守りながら)いやー点かない、火貸しましょうか?、いや大丈夫だよありがとう、おっ点いた、煙草がうまい、いいですよねこうやって煙草吸いながらぼうっとするの、そうだね

二人並んで六本木ヒルズを眺めながらしばらく無言。じゃあ、と言い残して歩き始めた。

On Sundaysに向かうわけだけれど、暑くて途中であきらめる。あちーあちーと呟きつつ住宅街をふらっとぶらつく。どこ行こっかなー、とMoMAストアへ。相変わらずバブリーね、ということで早々に退散。スパイラル行きそびれたわー、とか後悔しつつ、汗をかきながら原宿をふらり。おされな男の子たちがナイチチに入ってゆくのを横目で見ながら、いつもの古着屋へ。なんだかここのところいい服を入荷してくれないし、なによりかわいい犬が最近いないので、残念だ。

インターナショナルギャラリーにもエスカレーターにも行くのをすっかり忘れて、気づいたら渋谷へ足が向かっている。暑さのせいかまったく頭が働いておらず、なにもかも忘れてゆく。途中で素敵なかっこの女の子がチャオパニックへ入ってゆくのを見つつ、明治通り。渋谷に着いたらばタワレコへ駆け込み、やっぱりレコード屋と本屋が一番落ち着きますな、とゆったりと試聴と立ち読み。「HUGE」の表紙がかっこいい。

ああまだ本が足りてない、とパルコの下へ。なんか今日は人がおおいな、と明るいところで人がおおいのは苦手なので、コソコソする。ラフシモンズの写真集は相変わらずおっされーな感じだし、ヴェロニク・ブランキーノの写真集を見てみたり。

そういえば今日はシネマヴェーラニューシネマパラダイスが、ということで行こうと思ったのだけれど、途中でフレッシュネスに入って読書。ひたすら読書。でもやっぱりここは静かではなくて、もっと静かな場所で本を読みたいのだけれど、渋谷で静かなカッフェーは知らない。

結局、シネマヴェーラには行かず、HMVに行って、とかしていると疲れてしまって、ご飯を食べて、電車に乗って帰宅。お気に入りのミハラのTシャツもアーのペーのセーのパンツも汗くさくなってしまい、大変な一日なのでした、ちゃんちゃん。

*1:たぶん堀江敏幸が言及してた。たぶん。