Komm tanz mit mir



夏だなあ、なんてことをぼんやり思いながら、窓の外を見ている。


午前中に簡単な仕事を終わらせれば、気持ちのよい午後を迎えられる。先週頭に体調を崩してから週末まで調子が出なかったけれど、今週は調子が出るのではないか、と期待している。


日々は特別何もしなくても過ぎてゆき、そんなによくもないけれど悪くもない。先週末は念願のピナ・バウシュの公演を見に行き、その後近くのフレッシュネスバーガーの屋外に置かれた椅子で風に揺られながらフレッシュレモネードを飲む、とても気持ちのよい休日だった。

ピナの公演を見ながら、これは初めてゴダールフェリーニを見たときの感覚に近いのではないか、と考えたり。目の前で起こっていることに戸惑って、気づいたら終わっていた。

コンテンポラリーダンスは、康本雅子ニブロールにも長らく関心を持っているけれど、機会がなくて行けていない。これを機に、ダンスだけではなくて、演劇などの舞台芸術の方向にも足を踏み入れてみたいのだけれど、そんな余裕があるようなないような。


先月から、健康と節約のために自炊に挑戦してみることにした。何度やっても無理だった料理も、ある程度心に余裕があるおかげか、それなりにうまく出来て、自信を取り戻しつつある。「はらぺこレシピ」という雑誌を夜な夜な、あるいは日中よりじっと眺め、これを作る!、と意気込んで台所に立つ。その前に近所の八百屋や肉屋で食材を集めてくるわけだけれど、今まで知らなかった野菜にたくさん出会えて楽しい。例えば、と言っても思い出せないけれど、例えば、何とかの葉、という類の野菜。一体何に使うのかさっぱり分からないのだけれど、オオゼキで売られていて、気になってしまった。いつかあれを使うんだ、という想いを心の内に秘め、長くて入りきらない長ネギをスーパーの袋に入れ、その袋を自転車のカゴへと放り投げ、ペダルをぐんぐん漕いで走る。ちょっぴり主婦になった気分で、こういうのも悪くないな、なんて勘違いをしてみたり。目下の課題は、野菜を食べきれないので残った野菜をどうやって使うのか、ということ。あと、だし汁。だし汁というものが何なのか分からず、セイユーで「白だし」というものを買ってきて味噌煮込みうどんをつくってはみたものの、あまりの辛さに衝撃を受けた。ウェブで調べてみると、どうやら「だしの素」を使うか削り節等からつくるのが一般的だそうで、今度はそれらに倣ってつくってみる。でも、焼くだけ、みたいな料理は大抵うまく出来て、お腹も心も満たされて、眠りも深い。



今日は天気がいい。午後からは雨らしいが。
やらなくてはいけないことが積み重なっているけれど、少しずつ進めないと。のんびりするのはよいことだけれど、少しは自分を追い詰めないと、いい仕事はできない。いい仕事をすることが、今自分がやるべきことなのだろう。はっきりしていて、とてもよい。考えすぎずに直感でやってしまう方が、よい。


いろんな世界があるのだなあ、と日々実感する。でも、全部見たい、という気持ちはもうなくなってしまった。この世界でやっていくか、と思える場所でやっていけば、いければ、それでいい。いいんじゃないかな。