no title


あれよあれよという間に時間が過ぎてゆき、あらゆる物事が決まっていく。多くの物事に関して自分の力が作用することが当たり前だった世界はとうの昔に過ぎ去ってしまったらしい。「自分には何が出来るのだろう」と考えたり悩んだりする時間はもう残されてはいないのだろうか。正直なところ少しだけ不安がある、というよりはかなり不安だったりする。この感覚に慣れる日が来るのだろうか、来ないのだろうか。

不安だという感覚とは裏腹にずいぶんと消極的だった活動は徐々に積極的になり、週末は勉強会や研究会や試験で毎週埋まってしまっている。どうやってうまく休養をとればよいだろうかということをいつも思案しているが、なかなか答えが見つからない。学部生のときと同じくらいの忙しさであれば何とかなるだろうだなんて思ってはいるけれど、歳をとるにつれて如何せん責任というものがついてまわるものだから、どうしても慎重になってしまう。失敗することの恐怖というのは自分自身に対してと同時に他者に対して湧いてくる感情であるらしい。どちらか片方でも克服出来ればよいのだけれど、そんなに簡単なものではなさそうだ。

今日は麻婆豆腐を何も見ずにつくることが出来た。あれだけ苦手だった家事はずいぶんと出来るようになったし、わりと自分はやれば出来るのだな、と我ながら感心する。料理をつくったあとの後片付けもあっという間に出来てしまうし、スーツにアイロンをかけることも出来る。そういった生活の面では確かに少しずつオトナというやつになっていて、ときどきぼんやりと「オトナになったなあ」と物思いに耽ることがある。家計簿を見ながら必要なものを買ったり、学生のときには全く出来なかったので大きな成長だ。


今年の年末は結局また以前のように慌しくなるのだろう。論文を書きながら「大変だなあ」とぶつぶつ呟いていた冬のことを思い出すけれど、結局こういう生き方しかできないらしい。今年の冬もなんとか乗り越えよう。



波よせて - クラムボン